滋賀県大津南郷温泉「二葉屋」「近江牛のばってら寿司」

紫式部ゆかりの石山寺近くにある、びわ湖大津南郷温泉旅館「二葉屋」は、世界屈指のラジウム含有量を誇る温泉だ。

泉質は、単純弱放射能冷鉱泉。
無色澄明、無味無臭の湯はさらっとした肌ざわりで、刺激の弱い、優しい療養泉として名高い。

源泉の温度は14度と低温のため加温をしている。
温泉の効能は、リウマチ、皮膚病、内臓疾患、神経痛、関節痛、胃腸病など。建物二階の展望風呂は、錚々と流れ出る瀬田川と南郷洗堰（なんごうあらいぜき）を望む気持ちのよい造りだ。
先ごろ別棟に大浴場を新設し、より一層温情緒が高まった。

明治初期に、全国に近江牛の名を広めた老舗近江牛専門店、れすとらん｢松喜屋」の「近江牛のばってら寿司」は、独自の調合の酢飯と松喜屋オリジナルのタレを絡めて焼いた近江牛、ソレを包み込む朧昆布（おぼろこんぶ）が見事に調和した当地グルメの逸品だ。

倍以上の価格でも文句が出ないほど素晴しい仕上がりと旨さで、関西人の舌のレベルの高さを思い知らされるようだ。

↑展望風呂「清流の湯」

二葉屋（南郷温泉）／れすとらん｢松喜屋」DATA

■『夕刊フジ』に好評連載の板倉あつし取材の「菜湯紀」を再編集したものです。