梨木(なしぎ)温泉は群馬県の織物の街、桐生市の奥座敷位置する、開湯1200年を誇る一軒宿だ。
生糸産業が盛んだった明治の昔、ガチャ万(ガチャンと織ると万という金が転がり込んだ)長者が栄華を極めた時代のからの保養地であり、芸者衆で賑わった歓楽地だった。
幾度かの大火を経ているからだろうが、現在その面影は無いが、秘湯の風情を醸す穴場の名湯である。
泉質はナトリウム・カルシウム・マグネシウム‐塩化物・炭酸水素塩泉、切り傷、慢性皮膚病などに効果が高い茶褐色の湯だ。
湯舟の縁には年輪の様に、温泉の成分が固まって付着している。
梨木温泉自慢のグルメは雉(キジ)料理で、刺身、しやぶしゃぶ、つみれ鍋、釜飯など。仕事柄、多くの雉料理を食べてきたが、梨木館の雉つみれは特段に旨い。
雉料理の客には、朝食で雉雑炊が振舞われるのも楽しみだ。冷蔵庫内の飲み物代金が全て含まれるのも嬉しい。
梨木温泉「梨木館」DATA
温泉・味処 | 梨木温泉「梨木館」 |
住所 | 〒376-0143群馬県桐生市黒保根町宿廻285 |
電話 | TEL0277-96-2521/FAX0277-96-2523 |
地図 |
■『夕刊フジ』に好評連載の板倉あつし取材の「菜湯紀」を再編集したものです。